伽羅通信

鎌倉十三仏巡り 十三番札所 成就院

すべての願いをかなえる虚空蔵菩薩

江の電の「極楽寺」で下車し、成就院下の急坂をくだりました。ゆるいカーブを左に曲がると「虚空蔵堂(こくぞうどう)」に到着。道路沿いの斜面や参道脇に、のぼり旗が何十本もはためき、純白の布地には墨痕鮮やかにご本尊の御名「虚空蔵菩薩(こくぞうぼさつ)」が書かれ、どことなく勇壮な雰囲気が漂っています。今回は、十三仏巡拝の最後をうけもち、忌日が成満する「三十三回忌」をつかさどる、無限の智恵と慈悲を持つ虚空蔵菩薩(慈恩王)を訪ねました。

鎌倉十三仏霊場 第十三番札所 成就院 ※写真の転載不可。
※写真は6月に撮影しました。

浜風にはためく、白いのぼり旗に囲まれたお堂

巨きな狛犬に守られた虚空蔵堂

巨きな狛犬に守られた虚空蔵堂

石段のたもとにひっそりと湧く星月の井

石段のたもとにひっそりと湧く星月の井

虚空蔵堂は、真言宗の古刹「成就院」が所有する境内外のお堂で、正式名称は「明鏡山円満院星井寺」、ご本尊は「虚空蔵菩薩」です。言伝えによると、天平年間、民衆教化や社会事業のため諸国をめぐっていた行基(ぎょうき)が「星月の井」をのぞき、虚空蔵菩薩のお姿を見て仏像を彫り一堂を建立しました。その後、源頼朝も厚く崇拝したそうです。石段の下の名高い「星月の井」は鎌倉十井のひとつ。昔、この辺りは樹木がうっそうと生い茂り、日中でも薄暗かったので、井戸をのぞくと星が輝いていたという伝説があり、別名を「星月夜の井」ともいわれます。
ところで、一般にはなじみの薄い虚空蔵菩薩は、無限の福徳と知恵をそなえ、すべての願いごとをかなえてくれる仏様です。窮地に陥ったひとびとを救う菩薩として、身体健全、家内安全、交通安全、商売繁盛などの信仰をあつめています。
真言宗の開祖 弘法大師は高知県の室戸崎で「虚空蔵菩薩求聞持法(こくぞうぼさつぐもんじほう)」を修し、満願の日に明星が口の中へ入り、求聞持法を修得したと伝えられています。祈れば、一切の仏様を拝んだのと同じ効果があるといわれ、悩んだり窮地に陥ったすべての人々を救ってくださる、とても頼もしい仏様なのです。
両側で白いのぼり旗が勇壮にはためく石段を昇り、巨きな狛犬に守られた本堂の前に立ち、普段は非公開のご本尊の姿を思い浮かべながら合掌。しばし時を過ごした後、十三仏集印帳の御朱印をいただきました。

はるか眼下に由比ケ浜をのぞむ紫陽花の名所

極楽寺坂切通し上の境内

極楽寺坂切通し上の境内

虚空蔵堂の向かい側、丘の上に建つ成就院は真言宗の古刹で、ご本尊は縁結び不動明王。鎌倉でも屈指の花の寺として知られ、梅雨時には紫陽花を見ようと観光客が殺到します。細い参道の眼下は、波頭が陽光にきらめく由比ケ浜の渚。階段数は、除夜の鐘と同じ数の108段。相模湾が照り映える古都鎌倉ならではの絶景です。ここには般若心経の文字数と同じ262株の紫陽花が植えられ、剪定や施肥など入念に手入れされていました。

ちなみに極楽寺坂は鎌倉の七切通しの一つ。極楽寺開山の忍性(にんしょう)が整備したと伝えられ、当時の古道は道幅が約2メートルほどだったそうです。星月の井あたりから登り始め、現在の成就院の門前から4〜5メートル低いあたりが頂上で、距離は約250メートル。かなり急勾配の坂だったでしょう。現在の坂は大正時代にできた2度目の切通しです。

僧侶と共に歩く十三霊場巡拝に参加者が急増

仏教では、人が亡くなると、十三の仏様が姿を変えた十三王によって、生前の善悪が厳しく裁かれるとされています。現世のうちから、お参りをして、功徳をつみ、より良く生きようとするのが十三仏信仰で、鎌倉・室町時代に隆盛したものの、その後、衰微していました。ところが、最近になって関心が高まっています。理由はいくつか考えられますが、科学技術が進化し生活が豊かになっても、「生」あるものは必ず「死」を迎えねばならない存在であることを、現代人があらためて見つめ直すようになったからではないでしょうか。そして、仏教を知り、親しんでいただきたいと願う各寺院(真言宗、禅宗、日蓮宗、時宗)が宗派の垣根を超えて協力関係を構築。40社近い鎌倉の企業・商店や地元メディアと領域を超えてしっかりと手を結び、十三仏啓発の地道な活動を、たゆみなく展開してきた事も見逃せません。その意味で、古都鎌倉に、くめどもつきない魅力を秘めた,新しい観光資源が誕生したといえそうです。

人気の「僧侶と巡る鎌倉十三仏」を拡大展開

十三仏巡りへの関心が高まる中で、とりわけ人気を集めているのが「僧侶と巡る鎌倉十三仏」です。少人数で僧侶と一緒に十三霊場を歩いて巡り、直接話を聞きながら各寺で般若心経を唱えたり、ご本尊を拝観して御朱印をいただく巡拝の旅。これまでは、春先だけ開催していましたが、参加希望者の急増に対応して、平成23年よりは通年開催を決定。月一回、前半と後半にわけ、2回(2日間)参加すると十三寺すべてを巡ることができます。従来の鎌倉観光から一歩踏み込んだ、僧侶と一緒の古都巡礼に、ぜひ参加される事をおすすめいたします。

十三仏巡礼用「集印帳」について

鎌倉十三仏札所巡りのために専用の「集印帳(しゅういんちょう)」が用意され、地元書店や支援商店などで手軽に購入することができるようになりました。一般の集印帳と違って片面に十三の仏様の御姿、そして各札所で御参りして頂けるよう経典を掲載。初めての方でも御経をお唱えしやすいように、大きな文字で見やすく配慮されています。札所巡りした証(あかし)の御朱印を挟み込んで、自分自身で完成させられる集印帳です。 また、古都鎌倉「十三仏霊場巡拝」の公式サイトも開設され情報発信もはじまりました。

成就院(じょうじゅいん)

住所

〒248-0023
鎌倉市極楽寺1-1-5

電話番号

0467-22-3401

拝観時間

午前8時00分〜午後4時30分(※境内のみ)

拝観料

無料

アクセス

江ノ島電鉄極楽寺駅より徒歩5分

詳細

平安初期、真言宗の開祖・弘法大師(空海)が、この地で数日間に渡り護摩供・虚空蔵菩薩求聞持法を修したという霊跡に、承久元年(1219年)、執権北条泰時が京都より高僧を招き、本尊に不動明王をまつり寺を建立。普明山法立寺成就院と称しました。「虚空蔵堂」は、成就院が所有する境内外のお堂で、本尊は虚空蔵菩薩。天平年間、諸国を歩いて民衆教化や社会事業を行っていた行基菩薩が「星月の井」の中に虚空蔵菩薩を見たことからその姿を彫り、お堂を建立し本尊として安置しました。

天薫堂おすすめ商品

「伽羅通信」では、鎌倉の自然やおすすめの名店から香り文化全般について情報発信しています。知りたいテーマや観光スポットなどがございましたら、お気軽にお問い合わせください。

このページの先頭へ