伽羅通信

鎌倉十三仏巡り 六番札所 浄智寺

歴史を秘めた閑寂な「浄智寺」で坐禅を体験

十三仏詣の六番札所「浄智寺」は、文化財や自然環境、四季の花々で名高い鎌倉五山第四位の禅刹です。その由緒ある茅葺きの方丈で体験坐禅会が開催されました。臨済宗は厳しい修行で知られているだけに、内心は不安いっぱいで参禅…。今回は、そんな及び腰の坐禅体験と、はじめてお会いしたご住職の、鮮烈な存在感をご紹介いたします。

美しい杉苔の衣をまとった庭園を散策

苔むし擦り減った石段の果てに楼門が待っている

苔むし擦り減った石段の果てに
楼門が待っている

北鎌倉駅に降り立ち、坐禅への不安と期待をかかえたまま、鬱蒼とした杉木立の参道をのぼりました。「甘露の井」「三門」、珍しい様式の「楼門」、「仏殿」などの伽藍をゆっくり拝観。掃き清められた境内は禁止札が見あたらず、散策も撮影も思いのまま。裏庭にまわり、かわいい妖精サイズの隧道をくぐり抜けるとユーモラスな布袋さまのお出迎えです。お腹は参拝者になでられてピッカピカ。国の史跡として保護されるほど貴重な境内なのに、親戚の庭を歩くような開放感と親近感は、いったいどこから生まれるか?素朴な疑問に答えのないまま方丈に入りました。

線香が燃えつきる間の、無音の緊張感

境内は季節をちりばめた箱庭のよう

境内は季節をちりばめた箱庭のよう

異世界へ迷い込むような隧道が

異世界へ迷い込むような隧道が

体験坐禅会の参加者30名の半数は初体験、緊張のためか全員が硬い表情をしています。今日は修行ではないので靴下着用、正座もあぐらもよろしいと、ご住職がにこやかな表情で説明。数名の女性はほっと安堵の様子です。姿勢や呼吸、心構えや手の組み方などの基本作法を練習後、時計がわりのお香に火が点され、鐘の合図で初回を開始しました。とたん、細長い棒を手にした住職の温顔が、威厳に満ちた表情に変貌。恐いほどの静寂の中で、足はしびれ、呼吸は乱れ、身じろぎもできず「いつ終わるのだろう」とひたすら辛抱。突如、パン!パン!と棒で肩を叩く激しい音が室内に響き、思わず震えてしまいました。ようやく一回目が終了。休憩後の二回目は腹式呼吸にもなれ、いつしか時間を忘れ、雑事を忘れているうちに終了の鐘。教典の正しい持ち方を教わり、全員で「坐禅和讃」を唱和しました。悟りにはほど遠いものの、しばし自分自身を見つめる貴重な時間を全身で体感。そして常住坐臥、自己鍛錬を重ねたご住職の「やさしい厳しさ」が、とても印象的でした。

禅刹ならではのおもてなしを満喫

ツバキの花もひとやすみ

ツバキの花もひとやすみ

坐禅の後、仏殿でご本尊を拝観。鎌倉様式による阿弥陀、釈迦、弥勒の木造三世仏座像は、過去・現在・未来を表わしています。右手の弥勒菩薩が十三仏信仰の「変成王」で、とても優しい表情。全員で「般若心経」を唱和し、方丈に戻るとお茶が用意されていました。「おつかれさま。こうして一緒にお茶を飲み、お互いを確認しあうことも大切なこと。修行が厳しくて一人逃げ出してもすぐにわかりますから…」ご住職の冗談に一同爆笑。緊張が一気にほぐれました。まさに「喫茶去(きっさこ)」のおもてなし。2時間余の短時間ながら坐禅のエッセンスを満喫できました。さらに、寺院の魅力が仏像や伽藍や草花だけでなく、僧侶の体温によって支えられていること。ご住職の闊達なお人柄が、浄智寺ならではの開放感にまで照り映えていることを実感できました。まさにお寺は生きているのですね。

さて次回は、一番札所、不動明王(秦広王)をまつる「明王院」の予定です。

浄智寺

住所

〒248-0062
神奈川県鎌倉市山ノ内1402

電話番号

0467-22-3943

営業時間

午前9時~午後4時30分

拝観料

大人200円・小人100円

アクセス

JR北鎌倉駅下車 徒歩8分

詳細

臨済宗円覚寺派の鎌倉五山第四位の名刹。
執権北条時頼の三男宗政の菩提を弔い、宗政夫人が子の師時を開基にして弘安4年(1281年)に創建。
豊かな自然の樹木に囲まれた境内は国の史跡に指定されている。

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